クリエイター集団「CREAT-URE」にインタビュー!
当サイトClifttyを運営する「株式会社CLINK(クリンク)」。
そのグループ会社である、株式会社ITIのデザイン特化部門が「CREAT-URE(クリーチャー)」です。
今回はそんなプロフェッショナル集団「CREAT-URE」をまとめる、部長兼動画クリエイターにインタビュー!
動画の中で最も重要といわれる「サムネ」について、「ジャンル別おすすめサムネ」や「良いサムネの定義」などを聞いてみました。

sena
今回はサムネに関するアレコレを解説いただきました!
サムネでお悩みの方や、YouTubeを始めようと考えている方はぜひ参考にしてくださいね!
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CREAT-URE(クリーチャー)とは?
株式会社ITIとグループ会社である株式会社Kiiiの垣根を越え、デザインに精通したメンバーが所属しているCREAT-URE(クリーチャー)。
社内外から依頼された動画制作を含め、クリエイティブ業務全般を担当を担当しています。
主な仕事内容はYouTuberからの依頼や、YouTuberを起用した案件動画の作成、企業チャンネルの企画提案などです。
今回のインタビューに協力いただいた動画クリエイターをご紹介!
■Tさん
テレビ番組の制作に5年従事した後、2020年5月に株式会社Kiiiに入社。
2022年には部長に昇格し、チームをけん引している。
主な業務はYouTubeチャンネルの撮影・企画提案・運営など。
部長として部署全体の管理やマネジメントも行う凄腕クリエイター。
そもそもサムネの重要性は?
YouTubeを開くと最初に目に入る「サムネ」。
プロの目線から見たサムネの重要性について、いろいろとお話を伺っていきましょう。
どうしてサムネは大切?

sena
Tさん、本日はよろしくお願いします!
さっそく本題ですが、やはりサムネはYouTubeを構成する要素の中でも重要なものなのでしょうか?
-Tさん
よろしくお願いします。
サムネの重要性についてですが、サムネイルはいわば「動画の顔」ともいえるものですね。サムネの良し悪しが視聴回数に大きく関わってきますし、「この動画を見たい」と視聴者に思わせるきっかけ作りの役割もあります。
チャンネルを訪れた視聴者が始めに目にするという点では、本の表紙のようなものですね。

sena
本の表紙...。
-Tさん
はい。本を選ぶときにどんな基準で手に取るかを考えると分かりやすいと思います。もともと買うつもりがなかった本でも、表紙が面白そうだと中身が気になってきませんか?
そもそもいくら動画が面白かったとしても、再生して見てもらわないと始まらないですからね。そういう意味でもサムネで興味をもってもらう、ということはとても重要です。

sena
Tさんは普段どのような流れでサムネを考えているのでしょうか。
-Tさん
YouTube動画を撮り終わったあとにサムネを考えていると思われがちなんですが、実は逆なんです。「この素材が欲しいから、こんなコンテンツを撮ろう!」など、サムネベースで企画を考えていくこともありますよ。台本を作っている時点でサムネになりそうな部分を考えて、台本の内容を逆算して考えています。
動画を撮りながら「ここのシーンはサムネに使えそうだな...」などと考えておくと作成する際にスムーズです。
サムネ制作の流れとしては①動画の中で使いたいポイントを決める②色彩調整③テロップを追加する④画像の装飾(集中線など)⑤全体のバランスを見て完成、ですね。
自動生成されるサムネは利用しない方がいい?

sena
YouTubeに動画を投稿すると、動画から自動的にサムネを3つ作ってくれる以下の画像のような機能があります。このサムネをそのまま選択するのは避けた方がいいのでしょうか。
-Tさん
僕は使ったことがありませんが、手法の1つとして作り込まないサムネも魅力的だと思います。装飾しないサムネの代わりに絵力やタイトルで引き付けることで、強調の演出になることもありますよ。
具体的に良いサムネってどんなもの?

sena
サムネがとても大切であるということが分かりました...!では「良いサムネ」とはどんなものを指すのでしょう?
-Tさん
「良いサムネ」というのが抽象的で、なにをもって良いとするのかでも変わりますが…。再生数を伸ばすためのものなのか、見栄えをよくするものなのか「良いサムネ」にもいろいろあります。
仮に「良いサムネ=視聴者の興味をひくサムネ」だとすると、共通点は「扇情的※」であることだと思いますね。視聴者になにこれ?と思わせたり、動画の中身は想像つくけど見たい!と思わせたりできるものかなと。
※扇情的:感情や情欲を煽り立てる様子

sena
「扇情的」なサムネ...。どんな点をアピールすれば視聴者に刺さるのでしょうか?
-Tさん
パッと見で印象に残るような大きい数字や、具体的な数字が入っていると目を引きますね。例えば「芸能人Aが所有する〇億円の豪邸を公開!」という動画があるとしますが、これって見なくても内容はほぼ分かると思うんですよね。きっと高い装飾品や豪華な内装が出てくるんだろうな~と。けれど分かっていても動画をクリックしてしまう人は多いんですよね。こういう数字を利用したサムネは視聴者に刺さりやすく、興味をひけるものの一つですね。

sena
たしかに。内容の想像はついても、ついつい見てしまう動画ですね。
-Tさん
あとは動画の内容が分かる写真や、静止画を活用したサムネもおすすめです。例えばドッキリの動画なら、かけられる瞬間や、かけられた時のリアクションが分かるシーン。魚系のチャンネルなら、釣った魚を大きくサムネに写した方がいいですね。
フォントや文字サイズ・カラーなどは?

sena
サムネを作る際におすすめのフォントや文字サイズなどはあるのでしょうか?
-Tさん
基本的には読みやすいものが一番です。フォントが細すぎず、サイズもパッと見て書いてある内容が分かるものが良いですね。基本はゴシック体、強調したいポイントは明朝体、というようにいくつかのフォントを使い分けて作ることもあります。カラーについては視認性を重視していて、暗い背景に暗い文字などは読みにくいので避けていますね。
それに今はスマホで動画を見る人も多いので、パソコンの画面サイズに合わせたサムネを作ってしまうと、テキストが小さくスマホでは見えづらいです。パソコンからもスマホからも見やすいサムネを作る、というのは常に意識している点ではありますね。

sena
読みやすいフォントやカラーには組み合わせが大切なんですね。ただ動画ごとにフォントやカラーを毎回考えるのは大変ではないですか?
-Tさん
使用するソフトによって異なると思いますが、配色やフォントをストックして、お気に入りの組み合わせを保存する機能が付いているものもあります。人気YouTuberの方たちはテンプレート化したものを使いまわしている人が多いですね。チャンネル内で繰り返し使われているものは、それだけ目を引くフォントや配色の組み合わせなんだと思います。始めたばかりの期間は、再生回数が多いチャンネルのサムネを参考にするやり方もおすすめです。
視聴者層によってサムネは変わる?

sena
YouTubeは大人から子供まで、幅広い世代が楽しんでいるものです。視聴者層によってサムネの内容も変わってくるのでしょうか?
-Tさん
良い質問ですね(笑)。
チャンネル立ち上げの際にペルソナ※を先に設定すると思いますが、そこに合わせる必要があります。子供向けのチャンネルなら漢字にはルビを振ったり、ひらがなでも読みやすいフォントにしたり。高齢者向けは文字を大きめに作ることを意識しています。Z世代は感覚が鋭い人が多いので、演出にこだわったテロップを入れるようにしていますね。
※ペルソナ:サービスを利用する架空の人物像

sena
まずはペルソナを設定し、ユーザーに合わせたコンテンツ作りが大切なんですね!
YouTuberの方の投稿を見ていると、サムネで本人が登場しているものが多いと感じたのですが、やはり顔出しをしたサムネの方が良いのでしょうか?
-Tさん
まあ顔がいいだけで十分な引きになるので、美人やイケメンは顔出しするだけで得ですよね(笑)。
ただ顔出しが必須かというとそこまで重要ではないと思います。視聴者が興味を持つ内容であれば、顔出しをしなくても再生回数は上がると思いますし。プラスの要素になるのなら出すことは全然いいと思いますね!
チャンネル内の統一感は必要?

sena
動画を一覧で見た際にサムネに統一感があるチャンネルがありますが、サムネのテイストは揃えた方がいいのでしょうか。
-Tさん
これはあった方がいい時となくていい時があります。なくていい場合は、YouTuberとしてまだ軌道にのっていない時期。この時期は試行錯誤していろいろと試した方がいいので、統一感をそこまで求める必要はありません。
一般的に視聴者がチャンネルを訪れる流れとして一度視聴した動画が良かったから、同じテイストの他の動画を見に来ているパターンがあります。そのため軌道に乗り始めたタイミングにはサムネに統一感を持たせたほうがいいですね。サムネを統一することで、ひと目でその人のチャンネルだと分かるのもメリットだと思います。
逆にダメなサムネはどんなの?

sena
今まで良いサムネについてのお話を聞いていましたが、逆に「これはやめた方がいい」というサムネはあるのでしょうか。
-Tさん
基本的には良いサムネの反対だと考えてもらえればいいです。初心者がやりがちなのは画面が暗かったり切り抜いたシーンで何が起きているか分からなかったりするもの。これは当たり前ですが良くないですよね。
そうなると、切り抜くところを決めるセンスも必要になってきます。視聴者に動画を見たいと思ってもらえるような箇所をピンポイントで切り抜くセンスですね。
またセンスも大事ですが、テロップに凝り過ぎて逆に読みにくくなっているチャンネルもありますね。シャドーが強かったりエッジが太すぎたり…。凝ったテロップでセンスを出すのもいいですが、読みやすさが損なわれるのはいけないと思います。

sena
センスって難しいですね...。
Tさん自身は、なにかデザインを学ばれたことがあるんですか?
-Tさん
学校などでしっかりと学んだということはないですね。他の人が作った綺麗だなと感じるものを参考にして、自分の中に知識として落とし込んでいます。
そういう意味では、「自分で良いものか悪いものか判断できる能力」が大切ではないでしょうか。動画を見る人の多くは制作のプロではない一般の視聴者なので、その人たちの目線にどれだけ寄り添えるかが重要になってくると思います。
プロにみるサムネ制作事情
プロがサムネを作成する際に利用しているツールや、初心者におすすめなツールを伺いました。
どんな編集ソフトを使っている?

sena
サムネを作成する際に、使用しているツールはなんですか?
-Tさん
僕はAdobe社の「Premiere Pro(プレミアプロ)」を利用しています。動画編集といえばPremiere Proと言われるほど定番のソフトで、世界中のクリエイターが使っているものです。動画編集がメインのツールなのですが、サムネも作ることが出来るのでいつもこれを利用していますね。一般的にサムネを作るとなるとAdobe社の「Photoshop」が定番なのですが、個人的にはPremiere Proでも十分かなと感じています。
あとはAppleが提供する「Final Cut Pro(ファイナルカットプロ)」も人気ですね。プロが使っているものとなるとこのどちらかだと思います。
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初心者におすすめのツールは?

sena
プロ目線から見て、初心者におすすめのツールなどはあるのでしょうか?
-Tさん
やはり「Premiere Pro」や「Final Cut Pro」は使えた方がいいと思います。これが使えれば動画編集についての作業は一通りできるようになりますから。サムネのためだけに「Photoshop」の操作方法を覚えるのもいいですが、始めたばかりの人がいろいろと手を出すと器用貧乏になりがちなことも多いですね。
サムネ制作にかかる時間はどれくらい?

sena
通常1つのサムネを作るのにどれ程度の時間がかかるのでしょうか?
-Tさん
これはピンキリですね…。結局はアイデア勝負になるので、アイデアが出るかどうかで変わってきます。先ほどお話したように、絶対使いたいカットが台本の段階から決まっている場合は5分で終わることもありますし。アイデアが思いつかず、考え込んでしまうと一日がかりになることもありますね。
ジャンルごとのサムネの傾向は?
YouTubeにはいくつか動画のジャンルがあります。
ジャンルごとにサムネの作り方も変わってくるのか、以下の5つについてサムネの作り方や特徴や聞いてみました。
YouTubeジャンル
- コスメチャンネル
- 大食いチャンネル
- カップルチャンネル
- Vlog
- ペット動画
コスメチャンネル

sena
ここからはジャンル別のサムネの特徴を聞いていきます。
まずは「コスメチャンネル」の特徴からお聞きしてもいいでしょうか。
-Tさん
コスメチャンネルの企画にもよりますが、よくある「レビュー動画」なら商品が並んでいる写真がおすすめです。
コスメを紹介する人はインフルエンサーで見栄えがいいことも多いので、その人が写っていたらもっといいと思います。「商品の写真×顔出し」で引きとしては十分なんじゃないかな。

sena
ではテロップなどはどうでしょうか。
-Tさん
テロップはそこまで主張しないもので、白い文字に黒いシャドーをかけているものが多いですね。文字を気持ち小さくして、ブランドロゴのようにするのもいいと思います。最近はテロップに「#(ハッシュタグ)」を付けるのも流行っていますね。

sena
「#秋メイク」や「#ベストコスメ」など最近よく見る気がします。
ハッシュタグが付いているとなんだかオシャレに見えますよね!
大食いチャンネル

sena
お次は「大食いチャンネル」についてお聞きします。
-Tさん
大食いチャンネルなのでまずは「料理」の画ですね。あとはそれを必死に食べている姿。料理を大きく見せる手法として、普通サイズの料理と比較したり人の顔と大きさを比べたりするのも効果的です。
大食いチャンネルはチャレンジ企画が多いので「成功者0人!」とか「制限時間〇〇分!」などの文字を使って煽るのもいいと思います。この場合のテロップは、強調される赤や光沢のあるものを使いたいですね。
カップルチャンネル

sena
「カップルチャンネル」のサムネの特徴はいかがでしょうか。
-Tさん
カップルチャンネルの視聴者は仲睦まじい姿を見たいと思うので、サムネにするなら二人のショットですかね。ただ二人のファンでない限り、それだけだと物足りないと感じるので質問コーナーの動画なら、ちょっと扇情的な質問内容を見せるとか...。(例:結婚願望はある?など)
他のチャンネルに比べて、より動画の内容を見せる必要があると思います。これこそ視聴者に寄り添ったものを作る必要があると思いますね。
Vlog

sena
日常生活や旅行先での様子を撮影した「Vlog」はいかがでしょうか。
-Tさん
風景や部屋の写真がサムネとして使われていることが多いですね。
コスメチャンネルやカップルチャンネルと違って、テロップは一行で内容も抽象的なものでいいかなと。YouTube感丸出しの派手なテロップは避けた方がいいですし、オシャレに敏感な視聴者層を意識した「雑誌の文体」のようなテロップを使うといいと思います。
Vlogメインのチャンネルを作る場合は、自分で自分をブランディングしていく気持ちで行うといいですね。いつもの日常を切り取るVlogであれば、よりリアルな印象になるように「オシャレに見せすぎない」という工夫も必要となります。
ペット動画

sena
最後に「ペット動画」です。こちらのサムネで意識すべきことはどんな点でしょうか。
-Tさん
これはデカ盛りの料理と同じで、かわいいペットの姿だけで十分です。
可愛いペットは絵力が最強なのでテロップもいらないんじゃないかな。テロップ入れるとすれば「もふもふ」くらい意味のないものでもいいと思います。ペットをいかに可愛く見せるかにこだわって作っていいと思いますよ。
効果的なタイトルの付け方は?

sena
今までサムネについていろいろとお話をうかがってきましたが、Tさんは動画のタイトルを考えることもあるのでしょうか。
-Tさん
そうですね。依頼された動画に合わせて、タイトルを考えることもありますよ!

sena
そうなんですね!その際に意識することやコツなどはありますか?
個人的に「【】墨付きカッコ」を使ったタイトルは、よく見る表現だなあと感じます。
-Tさん
たしかに「パワーワード」や「【】墨付きカッコ」が使われているタイトルはよく見かけますね。【】で囲われているものは読みやすいし、視聴者の人も見やすいと思います。僕はあまり好きではないのですが(笑)。
タイトルを考える際に意識することですが、先ほど話したサムネが本の表紙であるという話、それに当てはめるとタイトルは「帯」と言えます。よくある帯で「ラスト3ページであなたの予想は裏切られる!!」などと煽っているものがありますよね。YouTubeのタイトルで使われる【爆買い】や【悲報】などにも帯と同じ効果があると感じています。

sena
「タイトルは帯!」分かりやすい例えをありがとうございます。
タイトルもサムネ同様にこだわって作った方が良いのでしょうか。
-Tさん
サムネ同様と言われると難しいですが…。サムネがうまく作られていたら、タイトルはあくまで補足情報で大丈夫です。
ジャンル別のサムネでお話ししたペット動画のように、サムネがテロップなしの写真のみという場合にはタイトルでペットの名前などを補足する必要があると思います。あとはサムネで入りきらなかった情報をタイトルに入れることもありますね。
未来のクリエイターへアドバイス

sena
ここまでいろいろとサムネに関するお話を聞かせていただきましたが、駆け出しのクリエイターや未来のクリエイターに対してアドバイスなどありますか?
-Tさん
始めたばかりの人が陥りがちなのは自分本位のサムネにしてしまうこと。YouTube動画を見る人の多くは制作のプロではない一般の視聴者なので、ユーザーの視点に立って丁寧に作ることが大切だと思います。
また自分が作りたいものと、視聴者が求めていることの感覚がマッチしているのか見極めることが大事です。いまの部署内でもこれは徹底しているので、クリエイターとして常に考えておかなければならないポイントかなと思っています。

sena
Tさん、貴重なお話をありがとうございました!
今回はプロの動画編集クリエイターに「サムネ」に関するアレコレをお聞きしました。
サムネ作りに悩んでいる方や、YouTuberを目指す方の参考になると嬉しいです。